本展では、関西を拠点に国内外で活動する、藤本由紀夫、高橋耕平、野原万里絵、黒田大スケの4名が、当館コレクションから注目する作家を選び、その作家像と併せて作品を様々な方法で読み解いていきます。彼/彼女らが創作者としての視点をもって、山崎つる子たち7名の思考や手業に近づきながら多様な方法でアプローチすることで、新たな作品解釈と共に、これまで表には出ていなかった個人史をも浮かび上がらせます。
藤本は、山崎つる子の作品)(1964)を手掛かりに様々な角度から検証し、具体美術協会という枠を超えて山崎の世界の新しい発見を試みます。野原は、生涯にわたって約5,000点もの絵画を遺した山田正亮に注目しました。山田が残した作品や50冊以上に及ぶ制作ノートから、本質的な絵画への問いと「描く」という山田の思考を、画家の視点と制作という行為を通して導き、抽象絵画の新しい鑑賞方法を提示します。高橋は、人や作品、時代とのつながりを「対話」という形で拡張していった津高和一の活動から、現代における「対話」について考察し、津高が抽象絵画を描くに至る経緯や精神性などを検証していきます。黒田は、堀内正和、柳原義達、エミール=アントワース・ブールデルの3名の列家とあわせて、田中敷子に注目し、アーティスト本人や周囲の人々の言葉を通して、各作家像に迫ります。
本展は、現代の作家が新たな視点をもって当館コレクションを調査・研究し、その研究成果としての展示空間=「思考を深める場」を立ち上げる方法によって、新たな展望を提示します。(芦屋市立美術博物館学芸員・大槻晃実)
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art resonance vol.01 「時代の解凍」
会期:2023年10月28日(土)〜2024年2月4日(日)
時間:10:00~18:00 ※月曜休館
主催:芦屋市立美術博物館
出展作家: 藤本由紀夫、山崎つる子、髙橋耕平、津高和一、野原万里絵、山田正亮、 黒田大スケ、田中敦子、堀内正和、柳原義達、エミール=アントワーヌ・ブールデル
撮影:飯川雄大
デザイン:吉村麻紀
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展覧会:
https://ashiya-museum.jp/wp-content/uploads/2023/09/7e3c85546b384256543f3c56bbb11a1b.pdf
図録:
「art resonance vol.01 時代の解凍」の図録について(通販のご案内)(2023年10月29日)
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神戸新聞:
https://www.kobe-np.co.jp/news/culture/202401/0017212281.shtml